民法
第549条(贈与)
贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
第550条(書面によらない贈与の撤回)
書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
要するに
- 贈与は、贈与者(あげる人)の意思表示と受贈者(もらう人)の受諾があって成立する。→「あげる」という意思表示と「もらう」という意思表示で成立する。
- 書面によらない贈与は、贈与者又は受贈者のどちらからでも、いつでも撤回できる。
- 撤回する場合、履行された部分(すでにあげた、もらった部分)は撤回できない。
というのが民法上の規定になります。
そうすると、税理士としては、
- 贈与契約を書面で交わす。
- 贈与契約後、直ちに実行(贈与)する。
ことが、贈与において重要となってくる(=税務調査であらぬ疑いをかけられないようにする)と考えます。
税法(相続税法)
国税庁のタックスアンサーに、『贈与を受ける財産の取得の時期』についての回答があります。
それによると、贈与による財産の取得の時期は、原則として、次の態様に応じた時期となります。
- 口頭による贈与の場合:贈与の履行があった時
- 書面による贈与の場合:贈与契約の効力が発生した時
- 停止条件付贈与の場合:その条件が成就した時
- 農地等の贈与の場合:農地法の規定による許可又は届出の効力が生じた時
(相基通1の3・1の4共-8,1の3・1の4共-9,1の3・1の4共-10)
例えば、普通預金から1,000万円を贈与する契約を平成2X年12月30日に書面でかわし、
(銀行が休みなので)翌年(平成2X+1年)の1月になってから振り込んだとすると、
上記では、『2.書面による贈与の場合』に該当するので、平成2X年12月30日が贈与による財産の取得日となります。
なにが問題か?
税理士的には、確定申告する年度がかわるので、平成2X年の贈与か平成2X+1年の贈与かはかなり問題となります。
なので、
- 贈与契約を書面で交わす。
- 贈与契約後、直ちに実行(贈与)する。
なので、
- 贈与契約を書面で交わす。
- 贈与契約後、直ちに実行(贈与)する。
というのが、重要になります。
できれば、贈与契約書(書面)を公証役場に持ち込んで確定日付をもらって欲しいと思います。
確定日付
公証役場にいる公証人が付する「確定日付」とは、文字通り変更のできない確定した日付のことであり、その日にその証書(文書)が存在していたことを証明するものです。
贈与契約書のように、作成日付が重要な意味を持つこと多々あることから、確定日付を付しておくことで、その文書がその確定日付を押捺した日に存在することが証明され、安心材料になると思います。
登記できる資産(土地・建物等)における注意点
所有権等の移転の登記又は登録の目的となる財産について、相基通1の3・1の4共-8の(2)(上記の1及び2)の取扱いにより
贈与の時期を判定する場合において、その贈与の時期が明確でないときは、特に反証のない限り、その登記又は登録があった時に贈与があったものとして取り扱うものとする。
というものがあります(相基通1の3・1の4共-11)。
すなわち、10年前に書面で土地等の贈与契約をしていても、10年経過後に土地等の登記を行った場合には、
その土地等に係る贈与は、10年前ではなく登記をしたときに行われた(=贈与された)とみなされ、贈与税の消滅時効は主張できない!ということです。
税理士からひとこと
贈与で気になることは、本当にその日に贈与があったのか?ということです。
「昔、親から贈与された!」という人はかなりいます。
「もう10年前の話だから贈与税も時効でしょ?」という人もかなりいます。
もちろん「連年贈与」ということも気になりますが、本当にきちんとした贈与なら、
誰にも疑われない内容にして欲しいと思っています。
なので、贈与契約書を作成する→すぐに贈与する→できることなら確定日付ということを覚えておいてください!