定率法による減価償却

個人事業主の皆さまは、そろそろ“確定申告をしなくては!”と思い始めているのではないでしょうか?
最近は、会計ソフトも安くなり、税理士に頼ることなくご自分で確定申告書を作る方が多くなってきました。

そんな中、
「ホームページに【初回無料】と書いてあったので、1つだけ教えてください」
と電話相談を受けました。

内容は、減価償却の計算方法がわからないというものです。
「自動で計算されているのだけど、どうも数字があわない」と…

最近のシステムで減価償却の計算ができないものは少ないと思いつつ、詳細を聞いたところ、
要は「保証率」「改定償却率」をご存じなかっただけでした。

こんなこともあるな…と思いながら、一応、説明しておきます。

「保証率」と「改定償却率」

平成19年度税制改正で減価償却制度は大きく変更されました。
具体的には、平成19年4月1日以降取得等をした減価償却資産について適用される「定率法の償却率」に加えて、
“定率法”により償却を行う際に用いられる「保証率」や「改定償却率」等が新たに示されました。

〇償却保証額=取得価格×保証率

〇改定取得価格=償却保証額に満たないこととなる事業年度の期首帳簿価格

〇定率法の償却限度額の計算式〔(調整前償却額)≧(償却保証額)の場合〕

  • 定率法の償却限度額=期首帳簿価格×定率法の償却率

〇定率法の償却限度額の計算式〔(調整前償却額)<(償却保証額)の場合〕

  • 定率法の償却限度額=改定取得価格×改定償却率

設 例

取得価額1,000,000円、耐用年数10年の減価償却資産の各年の償却に係る計算は次のとおりです。
定率法の償却率:0.250  保証率:0.04448  改定償却率:0.334

年数 1 2 3 4 5
期首簿価 1,000,000 750,000 562,500 421,875 316,407
償却限度額 250,000 187,500 140,625 105,468 79,101
償却保証額 44,480 44,480 44,480 44,480 44,480
改定取得価額×改定償却率
期末簿価 750,000 562,500 421,875 316,407 237,306
年数 6 7 8 9 10
期首簿価 237,306 177,980 133,485 88,902 44,319
償却限度額 59,326 44,495 33,371 25,028 18,771
償却保証額 44,480 44,480 44,480 44,480 44,480
改定取得価額×改定償却率 44,583 44,583 44,318
期末簿価 177,980 133,485 88,902 44,319 1

調整前償却額が償却保証額(取得価額1,000,000円×保証率0.04448=44,480円)に満たないこととなる8年目以後の各年は、改定取得価額(133,485円)に改定償却率(0.334)を乗じて計算した金額44,583円が償却限度となり、10年目において、残存簿価1円まで償却できます。(10年目においては残存簿価1円となるため、44,318円が償却限度額になります。)

新減価償却資産の償却率表(平成19年4月1日以降後取得事業供用分)

耐用年数 定額法の償却率 定率法の償却率 改定償却率 保証率
2年 0.500 1.000
3年 0.334 0.833 1.000 0.02789
4年 0.250 0.625 1.000 0.05274
5年 0.200 0.500 1.000 0.06249
6年 0.167 0.417 0.500 0.05776
7年 0.143 0.357 0.500 0.05496
8年 0.125 0.313 0.334 0.05111
9年 0.112 0.278 0.334 0.04731
10年 0.100 0.250 0.334 0.04448

注意!

耐用年数2年、定率法の償却率1.000とありますが、取得した年度に100償却できるのは事業年度の開始月(3月決算なら4月)に取得した場合です。5月取得なら11/12ヶ月分の償却となります。

気になる方もいると思うので

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