消費税の中間納付譲渡割額

はじめに

確定申告の時期です。毎年、意外と多い質問内容のひとつに、消費税の中間納付にかかる記載方法があります。
具体的には、消費税の確定申告の際、消費税の確定申告書の「中間納付税額」と「中間納付譲渡割額」に記載する金額は何を書けばいいのか?ということです。
我々税理士にとっては、常識の範疇に入るのかもしれませんが、1度躓くと時間を費やしてしまうのが確定申告。
簡単にご説明します。
なお、消費税の中間申告と中間納付については、国税庁のホームページを参考にしてください。

1番簡単にわかる方法

中間納付税額等は、税務署から送付される「消費税及び地方消費税の確定申告書」又は「『確定申告のお知らせ』はがき」に「中間納付税額」及び「中間納付譲渡割額」が印字されています。また、前年にe-Taxをご利用の方は、メッセージボックスの「申告のお知らせ」に表示されています。
これらの金額をそのまま使えば何ら問題はありません。

中間納付した金額しかわからない場合

多くの問い合わせが、消費税の中間納付額全額を消費税の確定申告書の「中間納付税額」欄に記載してしまい、「中間納付譲渡割額」って何?というパターンです。
中間納付した金額には、国税分と地方税分の消費税額が含まれおり、中間納付額を按分しなければなりません。
消費税が8%になり按分計算は、少しややこしくなっていますので、消費税5%の時代を例に説明します。
消費税5%の時代は、中間納付額に国税分が4/5、地方税分が国税分の25%として計算できました。
按分計算では、国税分+地方税分=中間納付額になるように調整する必要がありますが、この方法は消費税が8%(10%)になっても変わりません。注意点としては、100円未満の端数が出ないようにすることです。
国税庁の「よくある質問」で記載されている例をそのまま載せると、以下のようになります。
(例:消費税5%)
 中間納付の全額 735,800円
 国税分  735,800×(4/5)=588,640→588,700円
 地方税分 588,700×(1/4)=147,175→147,100円
 合計 588,700+147,100=735,800円
では、消費税が8%だとすると、
(例:消費税8%)
 中間納付の全額 735,800円
 国税分  735,800×(63/80)≒579,442→579,500円
 地方税分 579,500×(17/63)≒156,373→156,300円
 合計 579,500+156,300=735,800円
次に、消費税が10%だとすると
(例:消費税10%)
 中間納付の全額 735,800円
 国税分  735,800×(78/100)≒573,924→574,000円
 地方税分 574,000×(22/78)≒161,897→161,800円
 合計 574,000+161,800=735,800円
となります。
国から地方へ税源移譲されているのがわかります。

63/80や17/63て何?

上記の計算例で63/80や17/63とあります。これは、消費税8%の内訳(国税分と地方税分)です。
下記の表を参考にしてください。

適用開始日 消費税率 地方消費税率 合計
平成9(1997)年4月1日より 4.0% 1.0% 5%
(消費税額の1/4)
平成26(2014)年4月1日より 6.3% 1.7% 8%
(消費税額の17/63)
平成29年(2017)年4月1日より 7.8% 2.2% 10%
(消費税額の22/78)

消費税8.0%の場合、国税分6.3%+地方税分1.7%=8.0%となっているので、計算しやすいように10倍して63+17=80という数字を使っているのです。地方税分は国税分を基準にしますから、17/63をかけるんですね。

さいごに

消費税5%の時は、国税分4.0%+地方税分1.0%=5.0%でしたので、単純に25%(=1/4)すれば良かったのですが、8.0%になってからは暗算できなくなりました。
昔は、「さすが税理士!」と言われたものです。今や、「少し待ってください・・・(電卓パチパチパチ)」としなければなりません。