税額を正す方法の呼び方
なんらかの理由で、税金を本来の額に修正しなければならない場合、どのようにするのでしょうか?
少なく申告してしまい税金を納めなければならない場合や、
誤った処理で多く納めすぎた場合は、
本来の税金に戻すための方法が必要となります。
概して、税務調査によって追徴されるケースが多く、
「修正申告」という言葉を耳にすることが多いと思います。
当然「修正申告」は、法律でその方法が決められていますが、
税額を正す方法はそれだけではありません。
「修正申告」以外にも「更正」「決定」「更正の請求」という方法があるのです。
しかし、我々、税理士でもよく間違えて話してしまいます。
特にお客さまに説明をする時、税理士は「更正」と「更正の請求」は意味が違うと理解していても、
そのような言葉を初めて聞く方は、同じ意味だと思うのが普通だと思います。
税理士の常識、税務署の常識をいかに伝えるか!
これも税理士の使命ですので、簡単ですが、この4つについて説明させていただきます。
課税サイドが行うもの
「更正(国税通則法24条)」と「決定(国税通則法25条)」はいずれも、税務署等の課税庁が行なう処分です。
しかし、細かくは以下のような違いがあります。
- 更生
- 申告書の提出があつた場合
- 税務署長がその提出されている内容を直すこと
- 決定
- 申告書を提出しなかった場合
- 調査などによって、税務署長がその納付すべき税額を確定させること
いずれにせよ税務署長が税額を正すことが「更生」「決定」です。
納税者サイドが行うもの
これに対して、納税者が税額を正す方法として、
「修正申告(国税通則法19条)」と「更正の請求(国税通則法23条)」があります。
- 修正申告
- 税額を過少申告していた場合
- 納税者が行なう手続き
- 更正の請求
- 税額を過大申告していた場合
- 納税者が行なう手続き
まとめ
細かいことは税理士に任せるとして、
- 「決定」と「更正」の違いは申告書提出の有無の違い
- 「更正」と「更正の請求」の違いは、課税サイドと納税者サイドの違い
- 「更正」と「修正申告」の違いは、税額を過大申告した場合か過少申告していた場合かの違い
と覚えておくといいです。
雑談
では、何故、「修正申告」という言葉だけ良く聞くのでしょうか?
税額を修正するから!という単純な理由もあるかと思いますが、
税務調査で申告漏れ所得が指摘された場合、修正申告書を提出して追加の税金を支払う事により調査は終了します。
調査の指摘事項に納得ができない場合、修正申告は提出しませんから、
税務署は「更正決定通知書」により更正決定を行ってきます。
ここがポイントです。
修正申告は納税者が自ら行う税額の修正ですから、納税者が納得していることになります。
しかし、更生決定は税務署が勝手に税額を決めて課税するものですから、納税者側はこの更正決定に対し不服申し立てをする事ができます。
税務調査をした側からみれば、不服申し立てなど面倒ですよね。
修正申告させた方が、不服申し立てをされない!という点でメリットがあります。
ですので、私の憶測ですが「修正申告」という言葉をよく聞くのではないでしょうか?
所得を隠している場合などは論外ですが、修正申告をするかどうかを決める時は、税理士に相談してみましょう。
税理士が修正申告を勧めるケースも多いですが、最後に決めるのは納税者本人です。
納得いくまで相談してください。