扶養控除の判定

扶養控除の概要

納税者本人に所得税法上の控除対象扶養親族がいる場合、一定の金額の所得控除が受けられるという制度です。
この扶養親族については、その年の12月31日時点で、次の4つの要件を全て満たしていると、扶養控除を受けることができます。

  1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
  2. 納税者と生計を一にしていること。
  3. 年間の合計所得金額(※1)が38万円以下であること。
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

また、その納税者(A)が年の途中で死亡又は出国した場合は、その死亡又は出国の時の現況により判定することとされていますが、
12月31日の現況において、ある一人の者(B)を対象として複数の納税者が重ねて配偶者控除や扶養控除を受けることはできません。
しかし、年の途中で死亡又は出国した納税者(A)の控除対象配偶者又は控除対象扶養親族に該当した人(B)であっても、
その後、その年中において他の納税者(C)の控除対象配偶者又は控除対象扶養親族に該当する場合は、その納税者(C)の控除対象配偶者又は控除対象扶養親族として控除の対象となることができます。
非常に細かい所ですが、詳しく知りたい人は、所得税法83条・84条・85条,所得税基本通達の83~84-1を見てみるといいでしょう。

※1:年間の合計所得金額について

 ●給与やパート収入の場合

   給与所得控除が65万円あるため、収入が103万円以下の人が対象です。
 ※ 38万円+65万円=103万円

 ●公的年金のみが収入の場合

   公的年金控除が65才未満で70万円、65才以上で120万円あるため、
    65才未満では108万円以下の人が対象です。
     ※ 38万円+70万円=108万円
    65才以上では158万円以下の人が対象です。
     ※ 38万円+120万円=158万円

扶養控除額

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族(年齢が16歳以上の人) 38万円
特定扶養親族(年齢が19歳以上23歳未満の人) 63万円
老人扶養親族(年齢が70歳以上の人) 同居老親等以外の者 48万円
同居老親等(※2) 58万円

※2:同居老親等について

老人扶養親族のうち、本人又はその配偶者の直系の尊属(父母・祖父母など)で、本人又はその配偶者と常に同居している人をいいます。
「同居」については、病気の治療のため入院していることにより納税者等と別居している場合は、その期間が結果として1年以上といった長期にわたるような場合であっても、同居に該当するものとして取り扱います。
ただし、老人ホーム等へ入所している場合には、その老人ホームが居所となり、同居しているとはいえません。

「生計を一にする」と「同居」の違い

扶養親族の要件に「生計を一にする」というものがあります。
一方、老人扶養親族の要件に「同居」というものがあります。
「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。
例えば、単身赴任をしている、大学生の子どもが1人暮らしをしている等、別居していても生活費や学費を送金していれば、「生計を一にする」親族です。
また、療養費等の都合上別居している場合でも、療養費等の送金が行われていれば「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
さらに、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

扶養控除の年齢判定

扶養親族の年齢は、その年の12月31日現在で判定することとされています。
すなわち、平成26年分の所得税なら、平成26年12月31日に16歳未満である扶養親族については控除を受けられないことになります。
では、年齢の数え方はどのようになっていると思いますか?
実は、明治35年制定の「年齢計算ニ関スル法律」で以下のように決められています。

  1. 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
  2. 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
  3. 明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止ス

そして、民法143条は、

  1. 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
  2. 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する

となっています。
要は、「1月1日に生まれた人は12月31日に1歳となる!」ということです。
年末調整や確定申告の際、1月1日生まれの人がいる場合には注意が必要です。
単純に、年齢要件を所得のあった年の翌年1月1日現在の年齢で考えればいいだけです。
間違わないようにしてください。
なお、扶養親族が年の中途で死亡した場合には、死亡時の年齢で判定します。