相続税・贈与税の見直し
■ 基礎控除引き下げ
かねてからの予想通り、平成23年改正で先送りされたものが復活しました。
平成平成27年1月1日以降に相続または遺贈により取得する財産に適用するされます。
- 現行:5,000万円+法定相続人の数×1,000万円
- 改正案:3,000万円+法定相続人の数×600万円
■ 特定居住用宅地等に係る小規模宅地の特例の面積緩和
330㎡(=100坪)まで面積が緩和されています。
また、選択する土地等のすべてが特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、
それぞれの適用対象面積まで適用可能となりますので、かなり大きな改正となります。
基礎控除引き下げが“ムチ”なら、この改正は“アメ”ですね。
- 現行:240㎡
- 改正案:330㎡
但し、 貸付事業用宅地等を選択する場合、適用対象面積の計算は、現行通り調整を行うこととなります。
※ 補足
- 個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。
- この特例を「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」といいます。
- 相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。
- 「貸付事業」とは、「不動産貸付業」,「駐車場業」,「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます。
- 「限度面積」については、「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」、「特定居住用宅地等」及び「貸付事業用宅地等」のうちいずれか2以上についてこの特例の適用を受けようとする場合は、現行通り調整を行うこととなります。
- 少しややこしいので、詳しくはお問い合わせください。
■ 内部通行できない区分構造の2世帯住宅が特例対象へ
“内部通行できない”とは、(下記①~③を満たす場合を除く)2階建の2世帯住宅で外階段で行き来するような場合です。
このような2世帯住宅では、特例適用が原則として認められませんでした。
しかし改正案では、親世帯に同居人がいても適用可能となります。
とはいえ、現状でも同じ1戸建ての家に住んでいるのだから“同居”と考えるのが、常識だと思うのですが…
今までが厳しすぎただけだと思います。
- 現行:内部通行できないような区分構造の場合、原則「同居」親族が取得したこととはなりません。しかし、①被相続人が一人暮らし状態、②建物全体を被相続人または子世帯の親族が所有、③その宅地等を子世帯の親族が取得する場合に限り同居とみなされ、特例の対象となります(租税特別措置法通達69-4-21なお書き)。
- 改正案:1棟の2世帯住宅で構造上区分のあるものについて、被相続人およびその親族が各独立部分に居住していた場合には、その親族が相続または遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分を特例の対象とするとなっています。
※ 補足
この改正は、平成26年1月1日以後に係る相続または遺贈により取得する財産に適用されます。やはり、現状がおかしかったのでしょうね!