■ 復習
減価償却とは、資産を購入した際、その購入費用を一度に費用とせず、効果が及ぶ期間(耐用年数)にわたって一定の割合(償却率)で費用を配分する方法をいいます。
この処理によって生まれた費用を減価償却費といい、税法では1年に費用に(償却)できる限度額が決められており、減価償却方法として、「定額法」と「定率法」があります。
[定額法]
「定額法」とは、資産を一定の金額ずつ減価償却していく方法の事で、毎年同じ金額ずつ償却し、最終的に残存価額(備忘価額)の「1円」だけ残すように償却していきます。
[定率法]
「定率法」も最終的に残存価額の「1円」まで償却していきます。
ただし、建物及び無形固定資産は「定額法」しか選択できませんので注意してください。
※ 以前に書いた「定率法による減価償却」も参考にしてください。
■ どちらの方法を使えばいいの?
何も申請していない場合には
- 個人事業:「定額法」
- 法人:「定率法」
が法定の償却方法になっています。
「定率法」を選択したい個人は、新たに変更・採用しようとする年の3月15日までに
「減価償却資産の償却方法の変更承諾申請書」を提出すれば償却方法の変更が可能です。
■ 200%定率法?
平成23年度の税制改正によって減価償却の計算方法が変わりました。
平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産について適用する定率法の償却率が、
現在の250%定率法から、200%定率法に改正となったのです。
250%定率法の償却率は定額法の償却率の2.5倍(250%)に設定されています。
法定耐用年数が5年の場合の定額法の償却率は「0.200」。
同じ耐用年数の定率法の償却率は、その2.5倍の「0.500(0.200×2.5)」となるわけです。
この倍率が2.0倍(200%)に変わったのです。
つまり、改正後の定率法の償却率は「0.400(0.200×2.0)」ということです。
要するに、
- 平成24年4月1日より前に取得する減価償却資産:250%定率法の償却率
- 平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産:200%定率法の償却率
になるということです。
※ 定率法の償却率については、当サイトの「減価償却資産の償却率表」をご覧ください。
また、負担軽減の観点から経過措置が設けられています。
[経過措置①]
平成24年4月1日より前に開始して、平成24年4月1日以後に終了する事業年度については、
平成24年4月1日以後に取得した減価償却資産も250%定率法の償却率で償却ができます。
[経過措置②]
現在250%定率法の償却率を採用している減価償却資産については、
平成24年4月1日以後最初に終了する事業年度の申告期限までに届出をすることで、当初の耐用年数で償却を終了することができます。
経過措置①と違って最初の事業年度の申告期限までに、「届出」が必要なので注意が必要です。
■ 定額法を採用している車は?
一般的な車両・新車の法定耐用年数は車種により異なり、
乗用車(3・5ナンバー)は6年、
商用車(1・4ナンバー)は5年です。
※ 他の資産の耐用年数を調べたい方は、「減価償却資産の耐用年数表」をご覧ください。
個人事業主が車を原則的な定額法で償却しているのなら、平成24年度分の確定申告では、いままで通り減価償却すればOKです。
ただし、備忘価額「1円」を忘れないように注意してください。