顧問契約書と領収書の印紙

税理士とクライアントの顧問契約書

クライアントの皆様から契約書にいくらの収入印紙を貼ればよいか質問されることがあります。
そもそも、税理士とクライアントの皆様が顧問契約を締結する際の収入代は、いくらなのでしょうか?
通常の顧問契約書の内容は、

  • 業務内容:税務相談、記帳代行、決算書・申告書作成
  • 報酬:月次顧問料と決算料の金額をそれぞれ記入
  • 期間:1年+自動延長

となっていると思います。この場合、印紙税法上の扱いはどうなるでしょう?
税理士の顧問契約書は、委任に関する契約書に該当するから課税文書に当たらない!となりそうですが、
“税務書類等の作成を目的とし、これに対して一定の金額を支払うことを約した契約書”は、
第2号文書(請負に関する契約書)に該当しますので印紙が必要になります(平元間消3-15改正)。

委任契約にも関わらず印紙が必要なのか?

「税理士への顧問契約は、委任に関する契約書に該当するから課税文書に当たらない」はずなのに何故?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

具体的には、個人の場合、個人商店などの経営者は営業者に該当しますが、商法における商行為に該当しない行為を業務とする医師、あん摩・マッサージ・指圧師、弁護士、司法書士等のいわゆる自由職業者、農林漁業等の原始生産者、サラリーマン等は営業者に該当しません。

民法上の委任契約になり、課税文書にあたらない事になります。

しかし、契約内容に「委任業務の範囲」として「法人税,事業税,住民税および消費税の税務書類作成ならびに税務代理業務」他
が記載されていれば、第2号文書(請負に関する契約書)に該当し、印紙が必要になります。

「継続的取引の基本となる契約書」になるのか?

「1年契約で自動延長」という定めから第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当するか問題となりますが、該当しません。

印紙税法施行令第26条第1項では、
営業者の間において、売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負に関する2以上の取引を継続して行うため作成される契約書」を継続的取引の基本となる契約書に該当する、と定めています。

ここでも、「営業者」をもとめているので、税理士は該当しません。

顧問契約書への印紙代

以上から、第2号文書に該当することになりますので、
契約金額が100万円以下であれば200円の印紙が必要です

税理士が交付する領収証

税理士が交付する領収書に印紙の貼付は不要です。

領収証に代表される第17号文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)について、
営業に関しない受取書は非課税とされています。
そして、上述のように税理士は自由職業者であって営業者でないため領収書に印紙貼付は必要ないのです。