不動産売買時の消費税について

【質問】

  • 宅建業者ではない一般法人代表者より、ある収益物件(アパート)を購入することとなったので、仲介に入ってほしいとの依頼があった。
  • 当該物件は、売主が個人事業主であり、消費税の免税事業者いうこと。(賃料収入が年間1000万円を超えない)。
  • 物件価格は約4500万円となり、建物価格は評価額按分で計算し約700万円。
  • 今回のケースでは消費税はかからないとの認識だが、その認識で間違いないか?
  • 売主にヒアリングした結果、インボイス適格番号の発行手続きをされたことは無い。

【回答】

  1. 消費税の課税対象
    ・消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等および特定仕入れならびに保税地域から引き取られる外国貨物の引取り(輸入取引)に限られます。
    ・「事業者」とは個人事業者(事業を行う個人)と法人をいい、「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を反復、継続、かつ、独立して行うことをいいます。
    ・したがって、個人による売却であっても、売却するのが事業用や投資用不動産であるときには、事業の一環なので消費税の課税対象となります。
    ・消費税を気にしなくていいのは、個人が事業用ではない不動産を売却する場合、つまり、マイホームや別荘などの居住用財産を売却する場合は消費税の対象とならないということです。
  2. 免税事業者・課税事業者
    ・消費税の納税義務がない事業者のことで、その取引に伴う消費税とは別です。
    ・免税事業者だからといって、消費税の課税対象に該当する取引であれば、消費税を付加しなければなりません。
  3. 適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)
    ・適格請求書(インボイス)を発行するために、税務署の審査を受けて登録される事業者を指します。
    ・仕入税額控除を受けるためには、一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)の発行・保存が必要になります。
    ・このことと、消費税の課税対象や免税事業者・課税事業者とは、また別の概念です。

これらのことを踏まえると、

  1. 本件建物は、収益不動産なので消費税の課税対象
  2. 本件売主は免税事業者というだけで、消費税を考えなく良いというわけではない
  3. 適格請求書発行事業者ではないので、買主は仕入税額控の扱いに注意しなければならない

ということになります。

【まとめ】

  • 個人が自分自身の利用のために購入した建物や別荘を売却した場合、消費税の課税対象外。
     (法人は、存在目的自体が事業行為=全て消費税の課税対象)
  • 付け加えると、建物約700万円は消費税込(内税)で約700万円という扱いとなり、売主は、この売却代金のほかに約300万円の課税売上があると、翌々年度から消費税課税事業者になります。